「ダッカへ帰る日―故郷を見失ったベンガル人」
私が、大学に入って初めて、ベンガルの「人」に触れた本です。この本が、在日ベンガル人に関心を抱くきっかけになりました。
ビザの査証免除協定が結ばれていたころに日本に来たベンガル人が、その後どのように暮らしているのか、回想録の形でつづられています。日本で長く働いて、日本の物の考え方や習慣を身に着けてしまったベンガル人たちは、ダッカに帰っても本当の意味で安住して暮らすことができません。日本にいても、ビザをとって合法的に滞在するのが難しい。不景気でなかなか仕事が見つからない。しかし、バングラデシュにはもうなじめない。日本を支え、日本と濃密な関係を持つベンガル人たちが、このような状況にあることは、私にとって衝撃でした。私の家の近辺のインド料理店でも、バングラデシュ人が働いていますが、移民としてやってきた彼らがどのような生活をしているのか、気にかけていく必要に気づかされました。ただの隣人として生活しているだけでは、彼らのことは何もわからないのです。この本を読んでからインド料理店で積極的に店員に話しかけるようになりました。南アジア地域からの移民たちに、もっと身近な存在でありたい。そんなことを考えさせられた本でした。
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