※全部英語字幕付き!
ドキュメンタリーを見ていると錯覚する。
この社会派映画は、バングラデシュの裏を暴く。
☆基本情報☆
題名:মেড ইন বাংলাদেশ
Made In Bangladesh
監督:Mostofa Sarwar Farooki
製作国:バングラデシュ
製作年:2017
舞台はratanpurという田舎町。実際にインドに存在するようですが、ここでは架空の街という設定です。
ストーリーは、一人の男が、銃と爆弾をもって、人々を脅し付け、その町の区長?(D.C.)の座を奪うところから始まります。そこで彼によって、バウルシンガーから、議長、大学教授まで、様々な人物が集められました。それは、殺すためではなく、政策会議を開くためでした。彼の打ち出した政策は、教育システムを変えること、誰に対しても暴力を振るわないこと、(特に女性)農民に対して低金利でお金を貸しだすというもの。それを聞いて、ある教授はプラトンの言葉を引用し「すべての政治家は、聖人君子のように清くなければならない」とほめたたえます。
束縛から数時間経って、集められた人々は、何とか脱出しようとあの手この手を試みますが、うまく進みません。ある隙をつき、外へ出た人々。そんな彼らに、男は「この(バングラデシュ)の組織や制度、またそれに関係する人間を揺り動かすためだ。」行動を起こした理由を、こう説明しました。結局、男が持っていたのは、偽の銃、さらに偽の爆弾でした。そうネタ晴らしして、潔く警察に逮捕された彼。
でね、そのあとの字幕に「ভাগফল」と出てくるんです。これは、英語の[Quotient]日本語では、「割り算の商、比率、指数」という意味なんですね。ねえ⁉なんでこの言葉を選んだの⁉気になる…日本語だとどうも納得がいかないよ⁉まあ、それは置いておいて。そうして、彼が引かれていくんですが、「すべては、この国のためにやったことだ。」「この国の失業者を減らしたいんだ」そう言って、笑顔でひかれていく男。最後まで、彼の名は明かされませんでした。
そして、「ভাগশেষ」[Remainder]、注意と出てきて…
あー、本当にストーリーがすごい。これはたった、一日の数時間を切り取った映画です。人々の日常のど真ん中に、非日常がぽんと投げられる。その様子を淡々と記録する。でも、その中に、監督が日々感じている、バングラデシュという国の腐った部分や、おかしい部分、これから未来に向けて、改善すべき(と彼が思う)部分がさりげなく組み込まれている。非日常が過ぎ去ってしまえば、また元の日常が繰り返される。結末が明示されないから、ずぅっと考えさせられるんですよね。この映画、大好きだ。
☆見どころ☆
こう聞くと、方言がすごい!きちゅ→きす、じゃでる→ざでる、ちゃい→さい。バングラデシュのシネマだ…と安心して見ることができます。(笑)汚い言葉も覚えられるかも?
また、この監督らしさが出ているな、と思ったのが、集められた人々が彼の打ち出した政策に関して意見を言う場面。そこで、Elected Fine Arts という肩書の人が、文化的な政策が一つも入っていないと言い出します。特に、外国の衛星放送のチャンネルや、バングラデシュ製映画の下劣さを非難するのです。結局、彼の話は途中で打ち切られてしまうのですが、この一言に、監督の意見がオブラートに包まれて、投げかけられているような気がします。また、バウルシンガーも立ち上がり、麻薬やヘロインが、若い世代を打倒しているといい、対策を求めます。これは、意外でした。その流れで、ビンロウジ(betel nut)も禁止しようという話がでて、激しい討論になります。嚙みたばこは人気ですもんね。
敢えて様々な地位の人物を寄せ集めて、バングラデシュという国について語らせる。
バングラデシュの映画では、「美しいバングラデシュ」(ショナルバングラ、黄金のベンガル)を描くことが多いです。恋愛映画なんかでは、特に美しい自然や美しい人々が登場し、映画を彩ります。やっぱりみんな、なんだかんだ言って、バングラデシュという国を心の底から愛しているから。それはそれで、すっごくきれいで私は好きです。だけど、こうして客観的に自分の国の良いところだけでなく、悪いところも目にし、それをただ見過ごすのではなく、こうして映画という形で伝えることができるMostofa Sarwar Farooki
の作品は、希少性の高いものだと思います。今回は英語字幕もついているし!ぜひ見てください。
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