実は、わたくし、映画が大好きでして。ベンガル映画もよく見るのですが、何しろ知名度が低い…!そこで、毎月少しずつ、バングラデシュの映画情報を独断と偏見を交えてつづる、「ベンガル映画の小径」なる連載記事をお届けします。
第一回目の今回は、バングラデシュの映画産業の歴史です。
☆バングラデシュの映画産業の歴史
お隣の国、インドではボンベイ(ムンバイ)+ハリウッドの「ボリウッド」と呼ばれる映画が世界中で人気を博しています。バングラデシュでも1971年の独立以降、映画の人気が一気に高まりました。実は、最盛期の1980年代には、1235もの映画館がありましたが、だんだんと衰退の道をたどっていきます。その理由は、3つあります。
1. 質の低い映画が増えたこと。
当時作られていたのは、単純な勧善懲悪のストーリーばかりでした。また、東パキスタン時代から人気が高かったボリウッド映画を模倣して少ない予算で映画を作っていました。その結果「ちゃちい」映画が多くなり、監督が観客を引き付けられなくなってきたのです。
また、バングラデシュでは、映画は「家族で見るもの」でした。映画の中に、ボリウッドのようなダンスシーンを挿入したところ、扇情的なシーンだとして、家族連れが見なくなっていったのです。
2. ボリウッド映画の人気に押されてしまったこと。
実は、バングラデシュでは、ボリウッド映画を映画館で上映することは法律で禁止されていました。バングラデシュの映画産業を保護するためです。それほどまでに、ボリウッド映画は人気だったのですね。ですが、個人的な視聴は許可されていました。
1980年代、各家庭にビデオが普及するようになります。すると、ビデオショップがいたるところに出来、ボリウッド映画を録画したテープが爆発的に出回るようになりました。ただ、ダビングにダビングを重ねた画質の悪いテープばかりだったようですが…。当時、バングラデシュに住んでいた方は、ビデオのパッケージの表記でSONYを模した「IT`S A SANY」を見かけ、笑ってしまったそうです。
3. 衛星放送の開始により、テレビ番組を見る人が増えたこと。
1990年代、衛星放送が開始されました。実は、バングラデシュのテレビは、チャンネル数が半端じゃないのです。300タカ(400円くらい)払えば、60~70チャンネル(‼)見ることができちゃいます。BBCなど海外のメディアや、ハリウッドの映画も見ることができ、それにより、バングラデシュの映画人気はどんどんと落ちていきました。
☆バングラデシュの映画館ってどんな感じ?
現在、バングラデシュの映画館へ行くのは、リキシャワラ(リキシャを引いて走る人)や、日雇い労働者など、低所得者が多いそうです。安いお金でたくさん人を集めようとするため、設備が悪く、冷房が入っていないところもあります。また、女性が映画館で安心して映画を見ることが難しく、ある時など、大学生の女の子が映画を見るために、同級生の男の子数人で彼女の周りを囲んで座ったそうです。それほど、娯楽になりづらかったのです。
ですが、ご安心ください。最近、バングラデシュにもきちんとした映画館の設備が整いつつあります。その先駆け的存在が、STAR cineplex。ここは2004年に建てられたショッピングモールの一角にあります。3d映画も見ることができ、中も非常にきれいトータルで1600もの席があるという広さは日本顔負けです。従来に比べて非常に高く、200タカ(250円)以上するそうです。もし、日本人がバングラデシュでベンガル映画を見たいと思ったら、まずはここに向かうといいでしょう。
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バングラデシュには、「大きなスクリーンで見る映画の楽しみは格別」という言い回しがあります。もともと映画が大好きなバングラデシュ人たち。これからどんな映画を紡いでいくのか、楽しみですね。
nozomi
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