Badsha THE DON のレビュー‼
☆基本情報☆
公開年:2016年
製作国:インド(コルカタ)
主演:Jeet
なんと、ベンガル人俳優には珍しく、ちゃんとしたオフィシャルサイトを持っている方です。しかも、民族としてはベンガル人ではなく、シンディー人(パキスタン系)の家族だそう。いわれてみれば顔立ちがパキスタン人っぽい!学校の先生と結婚し、今は一人の娘さんがいらっしゃるそうです。このJeet は、「Sathi」という恋愛映画の主演で、一気に有名になりました。年に3-4本もの映画に出演する人気ベンガル人俳優です。ひょー!ハンサム。。。
ストーリー
インチキ占い師を生業にしている若者が、一人のヒーローもどきに助けられるところから、この映画は始まります。その最弱インチキ占い師が折りに触れて、出てくるのが面白い。その「ヒーローもどき」は、街の有力者の息子でしたが、幼いころから、「ドン」になりたいという夢をもっています。仕立て屋をしながら、ふらふらと生きています。ある日、仕立てた服を届けに行ったうちで目にした美しい娘に、ひとめぼれしてしまいます。思わず、「わーお、プラーエ」(いとおしい)とささやいてしまうほど。
「ドクター・ビジエ・ジャッチョ」と偽名を使って、病院で彼女に近づきます。その帰り道、いざこざを起こしてしまった相手は、正真正銘「マフィアのドン」の息子でした。ひょんなことから、本物のマフィアのドンの携帯電話を拾って、自分のものにしてしまったバダシュ。その携帯電話を使いながら、彼女に「ドクター」とうそをつきながら、彼女にどんどん近づいていきます。ついに、彼女にはガールフレンドになります。彼は悪知恵を働かせながら、マフィア、さらには警察まで巻き込みながら、みなを翻弄していきますが…⁉
☆みどころ
ストーリーは、インド映画にありがちなものです。一見弱そうな一般人が、難局をいくつも切り抜け、時々、アクションシーンで皆を蹴散らす。そして、愛した人と結ばれる。そこで、上げたいのは、この「ベンガル映画のインドらしさ」です。
1.「ナモシュカール」とあいさつをする。
バングラデシュでは、みなイスラム教徒なので、「アッサラーム・アライクム」を公式のあいさつにしています。インドのベンガル語圏では「ナモシュカール」が使われています。同じベンガル語でも、まったくちがう挨拶なのです。
2.お酒を飲むシーンが出てくる。
バングラデシュは、やはりイスラム教徒なので、飲酒は絶対NG。映画でそれを描くなんてもってのほかです。まあ、バングラデシュにも実際、お酒はあるらしいのですが。日本人でも、バングラデシュでビールを飲んだという人がいました。
3.ヒンドゥー教が主体。
ヒンドゥー教の神に扮して、あるいは、ヒンドゥー教徒の神に祈って難局を切り抜けたり、さらには恋人の証として、額に塗ってあげたり…イスラム教国のバングラデシュでは、決して描かれないストーリー構成です。
☆感想
★★★☆☆
この映画をみたきっかけは、この「イード・ムバラク」ソングを聞いたことでした。なんと!YouTubeでⅠ000万回以上の再生回数を誇る人気動画なのです。
バングラデシュは国民の実に90%以上がイスラム教徒の国。国全体がイスラム教の祝祭日に沿って動いています。そんな国の今日2018年6月15日は、「ラマダン」(断食)明けの「イード」という日で、バングラデシュ全体がお祝いムードに包まれます。「イード・ムバラク」とは、「イード明けおめでとう!」みたいなイスラーム教徒の常とう文句です。
「イードは本来、ラマダンを明けた人々がお祝いをする日となり、日本のお正月に少し似ています。(中略)イスラム教徒にとっては、神聖なラマダンの月はもちろん大好きですがこの楽しいイードも年中待ちわびるくらいの日となります。 」https://www.jhalal.com/info/1199.html
楽しさが滲み出てくるMVです。最初にこれを見た時は、「あ、ボリウッドだ」と思ったのですが、歌を聴いているうちに、「あれ⁉ベンガル語でうたっているぞ!?」とびっくりして調べなおすと、なんとベンガル映画だとわかりました。ボリウッド映画はヒンディー語なので、聞いているとわかるんです。「カハッ」みたいな無気音が多いイメージ。
「ボリウッドのコピー映画かな。」とそんなに期待せずにみた本作ですが、(失礼)私の中では☆三つです。冒頭の5分を飽きられずに見られたというのと(ベンガル映画を選ぶ際には、これが結構大事(笑))、その後不覚にもストーリーに引き込まれてしまったこと、インド側の製作だったという面白さと、ヒンディー文化を混ぜ込んだ西ベンガル特有の空気。存分に味わうことができて、面白かったです。警察やマフィアを巻き込んだ壮大なストーリーながら、あまりにオチが簡単すぎたので、☆は2個減りました。
インドのベンガル映画、はまりそうな予感がします。
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